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ストレスチェック

初めてのストレスチェック導入と適切なサーベイ選び

ストレスチェックは、現代の企業においてメンタルヘルスケアを強化するための重要な道具です。この記事では、ストレスチェックの基礎知識と基本的な活用法について詳しく解説します。ストレスチェックの導入は、従業員の精神的な健康状態を把握し、適切なサポートを提供するための第一歩です。また、企業の生産性向上や職場の雰囲気改善にも寄与します。それでは、具体的な活用法とその効果について見ていきましょう。

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企業におけるストレスチェックの導入と成功事例

企業がどのようにしてストレスチェックを導入し、成功を収めた事例について探ることで、自身の企業が導入を考える際の参考になります。

まずはストレスチェックの導入手順から説明し、次に従業員のメンタルヘルス改善とサポートプログラムについて具体的な事例を紹介します。

ストレスチェックによる職場環境や組織風土の改善が実現した事例も詳しく見ていきます。さらに、ストレスチェックを活用した離職率低下やチームのコミュニケーション改善を実現した事例も取り上げます。

ストレスチェックの導入手順

まずは、ストレスチェックに対する基本方針を検討し、周知する必要があります。労働安全衛生法や厚生労働省が出しているマニュアルを参考にするとよいでしょう。そして、基本方針に基づき衛生委員会で審議をする必要があります。ここでは、実施体制・方法、個人情報の取り扱いやスケジュールなどについて検討を行います。

次に、適切なサーベイの選定が必要です。厚生労働省が提供する標準的なサーベイを使用するか、企業の特性に応じたカスタマイズされたサーベイを選ぶことが考えられます。その後、従業員に対してストレスチェックの実施要領を告知し、必要に応じて実施説明を行います。従業員に対する説明は非常に重要であり、このステップをいい加減に進めてしまうと、受検率が低くなりストレスチェックを実施する意味そのものがなくなってしまいます。特に回答結果の取り扱い(個人情報の扱い)や、回答結果による不当な評価などは決して行わないことを明言しましょう。従業員の協力を得ることは、適切なデータ収集に繋がります。

チェックの実施後は、結果を速やかに集計し、分析を行います。この段階で、専門家の意見を取り入れることが効果的です。分析結果を基に、必要な対策や改善策を検討し、実施計画を策定します。場合によっては管理職やメンバー層に結果をフィードバックすることもあるでしょう。

並行して、ストレスチェックの結果を元に高ストレス者に対するフォローアップを行います。具体的には、医師面接の機会を提供し、従業員一人ひとりのメンタルヘルスをサポートします。

最後に、実施内容を労働基準監督署に指定の書面で提出をします。このように、導入手順を適切に把握し、計画的に進めることで、健康的な職場環境を整備することができます。

ストレスチェックは、物理的な職場環境改善にも役立つ

ストレスチェックの実施は職場環境と組織風土の大幅な改善につながります。例えば、ある企業ではストレスチェックの結果を基にした職場環境改善プログラムを導入し、オフィスのレイアウト変更や休憩室の充実を図ったところ、従業員の満足度と生産性が大幅に向上しました。このように、ストレスチェックを通じて得たデータを活用することで、より良い職場環境と組織風土を築くことが可能です。

この結果は、ストレスチェックが単なる健康管理ツールだけでなく、職場改善の有効な手段であることを示しています。企業が従業員のメンタルヘルスに対する積極的な取り組みを行うことで、従業員のモチベーションや生産性も向上し、長期的なビジネスパフォーマンスの向上にも寄与します。

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チームのコミュニケーション改善を実現した事例

ストレスチェックを活用して、チームのコミュニケーションを改善した事例があります。これは、ストレスチェックによって個々のメンタルヘルス状態を把握し、適切な支援や対策を講じることで、チーム全体のコミュニケーションが改善するからです。

例えば、ある企業では、ストレスチェックを実施した結果、社員間のコミュニケーションにおいて高いストレスを感じている部門があることがわかりました。業務内容が縦割りであり、メンバー同士の助け合いや意思疎通に課題がみられたのです。

そこで、該当部門の中でグループワークを開催し、社員間での意見交換を促進する活動を行いました。出てくる意見の中で、互いが互いに同じような気持ちを抱いていることが分かり、困ったときは担当業務が異なっていても相談をし合える組織づくりを目標に設定しました。時間はかかりましたが、この取り組みの結果、共通目標があることで互いに声をかけやすくなり、個人よりも部全体といった広い視野で物事を捉え、耐え受け合えるような風土を作ることに成功しました。

このように、ストレスチェックの活用次第で大きな成果を上げることができたケースもあります。

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適切なサーベイ選び

ストレスチェックを実施する際、自社に合ったサーベイを選ぶことはとても重要です。厚生労働省が推奨している57(職業性簡易ストレス調査票)80(新職業性管理ストレス調査票)は、自社のストレス状況について可視化することができます。そういう意味では、この2種類のどちらかを選択しておけば間違いはないでしょう。

他方、独自開発したサーベイを提供している専門会社も存在します。たとえば、ストレス状況だけでなく従業員のモチベーションを可視化する尺度や、従業員満足度も合わせて調査する項目が入っているサーベイもあります。

弊社では、57問や80問のサーベイに加えて、プレゼンティーイズムといった「健康問題による生産性の低下」を可視化するサーベイを付帯することも行っています。詳しくは以下をご参考ください。

【関連サービス】

ストレスチェック「LLax seed」.jpgストレスチェック「LLax seed」
法定範囲に対応できるサービスはもちろん、努力義務となっている集団分析、職場環境改善や高ストレス者の対応など、幅広いサービスメニューをご用意しています。

大事なのは利用目的

尺度がたくさん盛り込まれているサーベイが、必ずしも優れたサーベイとはいえません。尺度が多すぎることで、却って出てきた結果のどこに注目すべきか迷いが生じることがあり、対策すべき優先順位が立てづらくなることもあります。

また、優れた専門家が監修しているからといって、そのサーベイが実用的であるかどうかは利用する企業の体制によります。例えば、結果の読み解きに専門知識が必要であったり、難解な専門用語が多く含まれていたりすると、慣れない企業にとっては非常に扱いづらいサーベイとなってしまいます。

一方で、長い間57問のサーベイを行ってきており、一通りの対策まで行ってきた企業からすると、57問では見えない課題を洗い出すために別のサーベイを付帯したり、より専門的なサーベイを活用したりするメリットもあるかと思います。

これから初めてストレスチェックを導入する企業は、最初からあまり欲張らずに基本的な項目を抑えた57問や80問のサーベイをお勧めします。

まとめ

ストレスチェックを効果的に行うためには、実施計画の立案と目的に沿ったサーベイ選びが必要です。自社の目的、目的に合うサーベイ、実施時期、対象者の範囲、フォローアップのプロセスなどを具体的に計画に落とし込むことが求められます。このような明確な計画を立てることで、スムーズな実施と効果的なストレス対応策が可能になります。