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プレゼンティーイズム|健康経営

プレゼンティーイズムの評価、理解と対策ガイド

プレゼンティーイズムとは?

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プレゼンティーイズムという言葉を聞いたことがありますか?これは、企業の生産性の観点で、最近では特に健康経営において注目されている概念です。本記事では、その定義と概念、そしてどのように発展してきたのかを詳しく解説します。

定義と概念

プレゼンティーイズムは、病気や不調を抱えた従業員が出勤して仕事を続ける状態を指します。この状態は、従業員の健康状態が悪いにもかかわらず、欠勤を避けるために出勤するため発生します。プレゼンティーイズムを正しく理解し従業員の健康管理を適切に行うことで、会社全体の生産性を向上させることができます。

歴史的背景と発展

プレゼンティーイズムの概念は、労働環境や社会の変化に伴って進化してきました。起源を辿ると、1990年代のアメリカに遡ります。当時から病気にもかかわらず出勤することが、生産性にどう影響するかが注目されていました。

1990年代のアメリカでは、プレゼンティーイズムは主に従業員が病気であるにもかかわらず出社することで、最終的に生産性が低下するという現象として研究されました。多くの労働者が体調不良を抱えつつも欠勤を避けるために出勤しており、これが組織全体の生産性にどう影響を及ぼすかが議論の中心となっていました。この時期の研究は、特に体調不良や健康問題が直接業務遂行能力に与える影響に焦点を当てていました。

時間が経つにつれ、プレゼンティーイズムという概念はさらに発展し、現代ではメンタルヘルスや長時間労働との関連性も注目されるようになりました。例えば、うつ病やストレスがプレゼンティーイズムにどう影響するかについての研究が増加しており、これらの心理的要因も労働生産性に重大な影響を及ぼすことが明らかになっています。

プレゼンティーイズムの影響

プレゼンティーイズムが労働生産性、従業員の健康と福祉、および組織文化とチームの連帯感にどのように影響するかについて詳しく解説します。

労働生産性への影響

プレゼンティーイズムは労働生産性に対してマイナスの影響を及ぼすことがあります。従業員が病気や不調の状態で出勤し続けると、健康状態が悪化し、集中力や効率が大幅に低下します。これにより、通常ならば迅速に処理できる業務が遅延し、全体的な生産性が下がってしまいます。例えば、風邪をひいた従業員が出勤してきた場合、頭痛や疲労感から思考力や体力が低下し、普段は短時間で片付けられるタスクに必要以上の時間がかかってしまう等です。

プレゼンティーイズムによる生産性の低下を防ぐためには、従業員の健康状態を常にチェックし、無理なく働ける環境を提供することが不可欠です。従業員が自身の体調を気にせずに休みを取れるよう、柔軟な休暇制度やテレワーク制度の導入を検討するとよいでしょう。また、定期的な健康診断やサーベイを実施することで、従業員の早期発見と予防を強化し、職場の健康管理を促進することが重要です。管理職や人事担当者は、従業員の健康状態に関する情報を把握し、必要ならば産業医や専門家との連携を図り、適切な健康サポートを提供することが求められます。

このような取り組みにより、プレゼンティーイズムの影響を最小限に抑え、従業員が最良のパフォーマンスを発揮できる職場環境を実現することができます。

従業員自身の健康への影響

プレゼンティーイズムは従業員の健康に深刻な影響を及ぼします。例えば、病気であるにもかかわらず無理をして出勤することは、健康の回復を遅らせるだけでなく、場合によっては他の従業員に感染症を広げるリスクにもつながるためです。また、慢性的なストレスや疲労が続くと、メンタルヘルスにも悪影響を与え、うつ病や不安障害などのリスクが増加します。結果的に欠勤や病気休業が増え、最終的には生産性の低下やコストの増加という形で影響が現れます。

プレゼンティーイズムを防ぐためには、企業は従業員の健康管理やストレスチェックやプレゼンティーイズムを測定するサーベイを定期的に実施し、早期に問題を発見して対策を講じることが重要です。また、従業員が気軽に健康について相談できる環境を整備することも必要です。企業文化として、休暇や有給休暇を積極的に取得させることや、在宅勤務やフレックスタイム制などの柔軟な働き方を導入することも有効です。健康促進と従業員サポートの強化によって、プレゼンティーイズムのリスクを低減し、生産性の向上に繋げましょう。長期的な視点で考え、従業員のウェルビーイングを優先することが企業全体の利益にも寄与します。

組織文化とチームの連帯感に対する影響

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プレゼンティーイズムは、組織文化とチームの連帯感に悪影響を及ぼすことがあります。例えば、一人の従業員が体調不良を抱えながらも仕事を続けることでミスが頻発し、他のチームメンバーに追加の負担がかかると、全体の士気や連帯感が薄れてしまいかねません。組織文化とチームの連帯感を維持するためには、プレゼンティーイズムの認知と対策が不可欠です。

プレゼンティーイズムの放置は、短期的には小さな問題として捉えられがちですが、長期的には組織の健康とパフォーマンスに重大なダメージを与えることがあります。従業員が健康状態の悪化により効率を落とすと、業務の遅延や質の低下が発生し、他の社員のストレスや疲労も蓄積します。

企業はプレゼンティーイズムを減少させるために、柔軟な勤務形態を導入したり、従業員の健康意識を高めるための教育機会を提供することが効果的です。また、定期的な健康診断やストレスチェック、プレゼンティーイズムを測定するサーベイなどを活用し、従業員がストレスや健康問題を抱えている場合に早期に対策を講じることも重要です。結果として、従業員が無理をせず休息を取れる環境を整えることで、プレゼンティーイズムの弊害を最小限に抑えることができます。

プレゼンティーイズムに効果的な対策を講じることで、健康な職場環境と強固なチーム連帯感を築くことができます。健康とモラルを重視する組織文化は、長期的な企業の成長と従業員の満足度向上にも寄与します。このような取り組みは、組織全体のパフォーマンス向上と生産性を引き上げるための重要なステップと言えるでしょう。

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プレゼンティーイズムの評価基準

プレゼンティーイズムの評価基準を理解することは、組織の健康と労働生産性を向上させるために非常に重要です。本セクションでは、具体的な評価基準とそれぞれの重要性について解説します。

まず、プレゼンティーイズムに関連する指標と評価の重要性について詳しく見ていきましょう。評価基準を正しく適用することで、従業員の健康促進や生産性の向上に役立てることができます。

プレゼンティーイズムの指標

プレゼンティーイズムを把握するためには明確な指標が必要です。プレゼンティーイズムは、従業員が病気や不調でありながら出勤することで生じますが、その影響を正確に評価するために定量的な指標を設けることが重要です。これにより、影響を具体的に測ることが可能となります。

例えば、従業員の自己報告による健康状態のアンケートや、欠勤率、などが挙げられます。また、業務遂行能力の低下や生産性の変動数値も重要なデータとなります。これらの数値を定期的に収集し、労働生産性や従業員の健康状態を継続的にモニタリングすることで、プレゼンティーイズムの悪影響を早期に発見し、適切な対策を講じることができます。

当社では、産業医科大学が開発した専用サーベイ「WFun」を提供しています。WFunは、企業の「健康経営」ガイドブック(経済産業省)および健康経営度調査票において、推奨されているプレゼンティーイズム測定ツール(設問数は7)です。プレゼンティーイズムの影響を正確に把握するためには、具体的かつ定量的な指標を導入することが不可欠です。企業はこれらの指標を用いて、プレゼンティーイズムがもたらすリスクを理解し、効果的な改善策を策定することが可能となります。これにより、従業員の健康管理を強化し、生産性向上を図ることができるでしょう。

プレゼンティーイズムへの対策と管理

プレゼンティーイズムは、適切な対策と管理によりその影響を軽減できます。ここでは、企業戦略や健康促進策、職場環境改善などのアプローチを通じて、従業員と組織双方にとって最適な環境を構築する方法を記載します。

企業戦略と柔軟な対応方針

企業がプレゼンティーイズムを効果的に管理するためには、柔軟な勤務制度を導入することが重要です。柔軟な対応は、従業員の健康管理や労働生産性の向上に直結します。

例えば、リモートワークの導入やフレックスタイム制度の適用などが挙げられます。これにより、従業員は自身の状態に応じて働く環境を選択できるようになります。リモートワークは通勤のストレスを軽減し、フレックスタイム制度は従業員が最も生産性を発揮できる時間帯に働くことを可能にします。柔軟な勤務体系は従業員の意欲を高め、組織全体の連帯感や職場環境の改善にも寄与するでしょう。

職場環境の改善と組織文化の変革

職場環境の改善は、プレゼンティーイズムの軽減や、従業員のパフォーマンス向上に欠かせません。快適でサポーティブな職場環境は、従業員のモチベーションを高め、効率的な働き方を促進するからです。また、良好な組織文化は、従業員同士の協力を促し、チームとしての強い連帯感を育てます。

例えば、オフィス内の設備を改善し、自然光を多く取り入れるレイアウトに変更することで、従業員の精神的・肉体的ストレスが軽減されます。自然光は、従業員の幸福感を高め、集中力を持続させる効果があります。また、一部の企業では、植物をオフィスに配置することで、リラックス効果を得る取り組みも行っています。これにより、職場の雰囲気がより温かく、親しみやすくなります。さらに、柔軟な勤務時間制度やリモートワークの導入も従業員の働きやすさに貢献します。特に家族を持つ従業員や遠距離通勤をしている従業員に対しては、これらの柔軟な制度が非常に有効です。結果的に、プレゼンティーイズムの問題が軽減され、従業員の健康状態や意欲が向上します。

職場環境の改善が、より健康的で生産的な仕事環境を提供し、プレゼンティーイズムを軽減します。企業は様々な対策をしつつ、専用のサーベイなどによって定期的に評価し、改善策を講じることが重要です。

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健康経営に関連するご相談でいいますと、やはり「プレゼンティーイズム」に関してのお悩みが多いようです。

まとめ

プレゼンティーイズムは、労働生産性への影響、従業員の健康への影響、組織文化とチームの連帯感への影響など、多岐にわたる影響を及ぼす重要な問題です。そのため、企業は適切な評価基準を設け、プレゼンティーイズムの影響を軽減するための対策を講じることが求められます。

プレゼンティーイズム対策は一過性のものではなく、継続的な取り組みが必要です。今後も定期的に現状を評価し、新しい対策や改善策を導入していくことが重要です。企業価値を向上させるためにも、従業員の健康と生産性を維持・向上させるための取り組みを継続していくことが求められます。