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エンゲージメント|職場環境改善

3分で読める!人事お悩み相談室~「ワーク・エンゲージメントってどうやって上げるのですか?②

さて、今回は前回に引き続き、ワーク・エンゲージメント(エンゲイジメント)がテーマです。

前回は、ワーク・エンゲージメントの概念や、他の類似概念との違いを見てみました。
今回は、「どうしたらワーク・エンゲージメントが上がるの?」ということを考察していきたいと思います。

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ワーク・エンゲージメントを高める要因

ワーク・エンゲージメントを高める要因には、「仕事の資源」と「個人の資源」があると言われています。新職業性ストレス簡易調査票をストレスチェックツールとしてご採用されている企業様には「仕事の資源」は、聞きなじみがある言葉かと思います。

仕事の資源とは?

それでは、「仕事の資源」とは、どのようなものでしょう。新調査票の項目を挙げてみます。

●「作業レベル」では・・・
仕事のコントロール/仕事の意義/役割の明確さ/成長の機会

●「部署レベル」では・・・
上司の支援/同僚の支援/上司のリーダーシップ/上司の公正な態度/ほめてもらえる職場/失敗を認める職場/経済地位、尊重、安定報酬

●「事業場レベル」では・・・
経営層との信頼関係/変化への対応/個人の尊重/公正な人事評価/キャリア形成/ワーク・セルフ・バランス(ポジティブ)

こうして項目を並べてみると、仕事に対する身体的・精神的な負担を軽減し、仕事の目標達成を促進し、個人の成長も促進する、物理的・社会的・組織的なサポートであることがわかります。

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個人の資源とは?

一方、「個人の資源」とは、課題に対する積極的な対処スタイル/自己効力感/組織での自尊心/楽観性/レジリエンスなどが該当します。私たちの「内部」にある仕事を遂行するための力、つまり心の強さやしなやかさですね。

この「仕事の資源」と「個人の資源」がうまいこと相互に作用することで、ワーク・エンゲージメントが高まるわけです。「仕事の資源」、つまり職場環境や上司の関わり方やサポートの在り方等については、ストレスチェック集団分析の結果などに基づき、地道に、不断に、職場環境をより良くするためのお取組みを続けていくしかないと思います。
この分野に関しては、当社には専門の組織開発支援チームがあり、実績もあるところですので、ここでお悩みの企業様は、ぜひ担当の者にご相談いただきたいと思います。

「個人の資源」、心の力は、どのようにしたら高まるのでしょうか。
さまざまなセルフケアの方法がありますが、最近、同僚と話していたのは、
「心が元気かどうか、その日、仕事に前向きになれるかどうかって、結局、体調によるところも大きい気がする」ということです。

しっかり睡眠がとれて、朝日を浴びて、体に良いものを食べて、脳内でセロトニンが分泌されている状態だと、「さ、今日も頑張りますか!」という感じになりませんか?
ワーク・エンゲージメントの要素のうち、「活力」に関しては、かなり体の状態も影響しているだろうと考えています。

そして、「ワーク」に「エンゲージメント」しているとは・・・仕事に対して思い入れや結びつきを感じている、つまり、「自分の仕事が好き!」ということですよね。

仕事が好きかどうかというのは、大きく3つの方向性があるような気がします。

①一緒に仕事をしている仲間が好き

②自分の価値観に照らし合わせて、自分の仕事には意義があると感じられている
③仕事における主な作業が、自分の特性(強み)に合っている

このうち、①は、職場環境の話です。
「仕事の資源」を高める取り組みの中に包括できそうです。

②については、2月発信のコラムにて、「マイ・パーパス」についてお送りしましたが、
パーパスの話になると思います。

人に貢献したい、社会に貢献したい、世界に貢献したい、そういった思いや、私は人生においてこれを大切にしたい、という思い、この社会課題はなんとしても解決したい、という思い、そういった深い内発的動機と、自分の仕事に共通点があれば、仕事を好きと言えるだろう、ということです。そしてこれは、ワーク・エンゲージメントの要素の中では、「熱意」に密接に関係するだろうと思います。

③については、人は誰しも、特性上得意なことがあります。
人と話すのが得意、ロジカルに考えるのが得意、黙々と調査をするのが得意、分析して推論することが得意、人を励ますのが得意、説明して説得するのが得意・・・などなど。この特性上の強みが仕事に活かせていれば、仕事が好きと言えそうですよね。

そしてこれは、ワーク・エンゲージメントの要素の中では、「没頭」に密接に関係するだろうと思います。私たちは、得意な作業に集中しているとき、フロー状態になれます。
ただし、仕事にはストレスがつきものです。私自身、自分の仕事が好きかと聞かれれば、好きと答えます。人に関する仕事を25年くらい続けているのですから、好きでないと、やってこられなかったと思います。でも、毎日毎瞬、仕事を好き!と感じているかといえば、そんなことはありません。好きな仕事を続けるためには、特段好きでない仕事も一緒にこなさなければならないからです。自信を失うことも、意義を見失うこともあります。多くの皆さまも、そうなのではないでしょうか。

それでも、「仕事が好き」に立ち返るためには、組織側の努力(仕事の資源)とともに、個人の側も、努力が必要です。

「ワーク・エンゲージメント」は、好きな仕事に就いていれば、自然と継続するようなものではなく、体調を整え、仕事の意義を節目節目で再確認し、自分の強みを活かそうとする、その意識的な行動の中で生まれるものであるような気がします。

さらに私が興味深いと感じたのは、「エンゲージメントは伝播する」ということが研究によりわかっている、ということです。ある人の感情や態度が、同じ環境に置かれた別の人に伝染する現象を「クロスオーバー」といいます。

機嫌の良い上司のチームは、メンバーの雰囲気もいいですし、夫婦間でも、パートナーの感情がポジティブだと、こちらもポジティブな気分になったりします。

ワーク・エンゲージメントに関する調査では、夫(妻)のワーク・エンゲージメントが高いほど、妻(夫)のワーク・エンゲージメントも高くなり、チームのワーク・エンゲージメントレベルが高いほど、チームメンバー個人のワーク・エンゲージメントも高いことがわかったそうです。クロスオーバーが起きているのですね。

一人のワーク・エンゲージメントの高さが、他者にも良い影響を与える・・・
これはとても素敵で、希望が持てる側面だと感じます。「自分からより良く在ろう」という気持ちに繋がります。

人事の皆さまのワーク・エンゲージメントの高さも、従業員の皆さまにきっと伝播していくだろう、と思っています。

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------------☆筆者プロフィール☆------------
桜又 彩子(さくらまた あやこ)

SOMPOヘルスサポート株式会社
シニアゼネラルコンサルタント

システム開発会社の人事部で7年間勤務の後、
2007年よりSOMPOヘルスサポートにてメンタルヘルスおよび健康経営の

コンサルティング業務、研修講師などに従事。

【保有資格】
特定社会保険労務士 
キャリアコンサルタント
シニア産業カウンセラー
ポジティブ心理学プラクティショナー
健康管理士一般指導員  など