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3分で読める!人事お悩み相談室~ストレスに強い人材を採用したい~
普段より私どもは、メンタルヘルス対策や健康経営をご支援させていただく中で、人に関するさまざまなご相談をいただきます。このコラムは、多くの人事の方々からいただくお悩みにお答えする形でどうしたら、従業員の皆さまに、より元気に、より幸せに働いてもらえるのか、考えていこうという内容になっております。
新卒採用時の適正検査ツール
最近、ある人事の方から「新卒採用の適性検査に使うツールとして、こんな内容のものを提案されたのですが、どう思いますか?」というご相談を受けました。新卒採用でよく使われる適性検査といえば、SPIが有名かと思いますが、今回ご相談されたものは、一般的な性格検査の内容に混じって、私見ではありますが、明らかに発達障害の傾向を見る設問が散りばめられているように感じました。
この適性検査の是非については、ここでは論じませんが、
「できれば、当社に定着してくれる人材を採用したい」
「できれば、メンタルヘルス不調にならずに働いてほしい」
「できれば、当社で問題なく活躍してくれる人材を採用したい」
ということは、人事の皆さまの本音だと思います。では、上記のような人材を、採用選考中に見極めることはできるのでしょうか。
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レジリエンス人材度測定ツールMRP
「できる」とはもちろん断言できませんが、当社では、「MRP」という「レジリエンス人材度測定ツール」をご提供をしております。
「レジリエンス」とは?
レジリエンスとは、ポジティブ心理学の基礎概念の一つで、認知行動理論を基盤とした、困難・逆境に対処する力のことです。人生の肯定的な側面を増強し、環境変化にしなやかに対応していける力、とも位置付けられています。また、レジリエンスは、うつ病や不安障害に対する予防効果に関する多数の実践研究が行われ、有効性が示されています。
私はよくレジリエンスの概念をご説明するときに「雨風があたっても、柳のようにしなり、雨風がやんだら、またしなやかに元の立ち位置に戻ってくることのできる力」と例えています。
「MRP」では、以下の3つの領域を測定します。
●心理的健康:日常生活における気分の落ち込みや不安、自分自身への満足感
●レジリエンス:困難な状況やストレスが高い状況でも大きく崩れることなく対処する力
●パーソナリティ:個人の行動や感じ方・考え方、仕事への取組み方、周囲の人との関係の持ち方
【関連サービス】
レジリエンス測定サーベイ「LLax MRP」
ストレスや挫折に強く、職場環境に順応しやすい性格傾向に焦点を当てたレジリエンス人材度測定ツール
MRP結果の分析事例
このMRPを長年採用時にご使用いただいている企業さまのデータを、当社の専門職が分析をした事例があります。近年の新入社員は、新人研修中から反応が薄く、なかなか自分から手を上げたがらない、発言をしたがらない、という傾向があったそうです。
そこで、当社専門職がMRP結果を分析すると、近年の若手社員の傾向として「失敗に対する寛容性」「否定的評価への耐性」のスコアが低いことがわかりました。また、退職者の傾向を分析してみると、上記の2項目に加え「人と関わる社交性」「楽観的な思考性」「自分への満足度」といった項目のスコアが低い傾向が見えました。
総合的に勘案すると、
●自分に自信が持てないことで、
●失敗することや批判されることにおびえ、
●落ち込みやすく、
●無理に自分を良く見せようとして、
●人となかなか深く交流できない
という、若手社員の内面が見えてくるような気がしました。
そういう傾向は困りましたね、そういう傾向の人材は採用しないほうがいいですよ、という話ではありません。レジリエンスは、教育や環境によって、向上させることができるものです。実際、MRPをご導入されている当社のあるお客さまは、MRP結果をふまえた当社専門職の面談を、入社時に実施してくださっています。
面談の中で、一人ひとりの傾向に合わせたフォローをしたり、その方のレジリエンスに合わせたセルフケア指導を実施しています。また、面談の結果は、配属先の上司に共有し、配属後のコミュニケーションのとり方などに活用していただいています。(例:「元気そうに見えるけれど、意外に打たれ弱いので、叱り方に注意してくださいね」)
管理職は、よく研修などで「部下の特性に合わせたマネジメントを」と言われていますが、簡単なことではありません。まずは「部下の内面をよく知る」というところから始めるとよいのでないか、と思います。
そして、仕事をしていく中で、自分に自信が持ててきたり、失敗しても、それはチャレンジと捉えてくれるのだと実感したり、無理に自分を演じず、本音の意見を言っても、上司は聞く耳をもってくれるのだと理解すると、若手社員のレジリエンスは上がってきます。これはまさに「心理的安全性の高い職場」ですね。
心理的安全性の高い職場であれば、若手社員は育つ。レジリエンスは向上する。活き活きと活躍してくれる。そう信じて、若手社員に向き合っていきたいものです。
------------☆筆者プロフィール☆------------
桜又 彩子(さくらまた あやこ)
SOMPOヘルスサポート株式会社
シニアゼネラルコンサルタント
システム開発会社の人事部で7年間勤務の後、
2007年よりSOMPOヘルスサポートにてメンタルヘルスおよび健康経営の
コンサルティング業務、研修講師などに従事。
【保有資格】
特定社会保険労務士
キャリアコンサルタント
シニア産業カウンセラー
ポジティブ心理学プラクティショナー
健康管理士一般指導員 など