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健康経営

3分で読める!人事お悩み相談室~健康経営を阻む7つの壁~

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普段より私どもは、メンタルヘルス対策や健康経営をご支援させていただく中で、人に関するさまざまなご相談をいただきます。このコラムは、多くの人事の方々からいただくお悩みにお答えする形でどうしたら、従業員の皆さまに、より元気に、より幸せに働いてもらえるのか、考えていこうという内容になっております。

当社では、健康経営度調査票のコンサルティングサービスを提供しておりますが、最近、調査票回答のアドバイスをしていて感じることがあります。以前は、

「健康経営優良法人に認定されることが目的」
「順位を少しでも上げることが目的」
「ホワイト500に入ることが目的」

といったように、認定取得や順位アップが目的になっている企業様も多かったのですが、ここ数年は「社員が真に健康になることが目的。認定や順位はあくまで結果」という企業様が目立つようになったと感じています。
よい順位で認定されるために、もちろん必要な努力はされるのですが「いくら頑張って認定を取っても、社員のためにならなければ意味がない」と、健康経営を本当の意味で進めていきたい企業さまが増えています。

    【関連記事】

    ポイント、上向き階段.jpg健康経営優良法人認定を受け、健康経営を本質的に推進するための重要ポイント
    今年度の健康経営度調査票フィードバックシートを基に、自社の健康経営取組みを振り返り、次年度以降の健康経営戦略・施策を検討されている企業様・保険者様も多くいらっしゃるかと存じます。

    健康経営を阻む7つの壁とは?

    折しも「人的資本経営」という言葉が注目を集めていますので、そういった世の中の流れも影響しているのかと思います。それに伴い、調査票の範囲を超えて「健康経営全体の推進を総合的にサポートしてほしい」というご要望をいただくことになるのですが、なかなか一筋縄では行かないものです。

    多くの企業さまの健康経営推進をご支援していて、私なりに掴んだのが、社内によくある「健康経営を阻む7つの壁」です。ご担当者さまは「本当の意味で進めていきたい」と、非常に熱意を持たれているケースが多いのですが、「7つの壁」に阻まれて、口惜しくも足踏み状態になってしまうのです。

    ●1つ目の壁 【経営陣が「総論賛成・各論反対」である】

    ⇒社員が健康になることには「賛成」してくれるが、いざ投資(予算)の話をすると承認が下りない。
    ⇒「健康経営って結局儲かるの?」と質問され、話がそこで終わってしまう。
    ⇒経営陣が本音では「健康なんて個人の責任」「なんで会社がそこまでやるの」と考えている。

    ●2つ目の壁 【自社のコンセプトがはっきりしないまま施策先行になっている】

    ⇒健康経営という幅広い概念において、自社が健康経営を進める目的が明確になっていない。
    ⇒自社において「何を重要視するのか」「何はやらないのか」という判断軸が曖昧なので、健康増進のための施策はいくつか走っているが、一般的に良さそうなものを思いつきで実施している。
    ⇒他部門が推進している他の施策(働き方改革・ダイバーシティ・CSRなど)と連携がとれておらず、社員へ同じような内容をバラバラにメッセージ発信している。

    ●3つ目の壁 【本社の熱意が各事業所まで伝わっていない】

    ⇒本社の事務局の温度感は高いが、地方の事業所がついてきていない。
    ⇒「調査票の記入に協力せよ」「禁煙にチャレンジせよ」というような、個別の指示は伝わっているものの、本社がどこを目指し、何のためにどのような思いで健康経営を推進しようとしているかという、本質的な目的意識が、現場に共有されていない。
    ⇒各事業所の労働安全衛生の自治が強く、本社のガバナンスがきかない。
    ⇒情報共有、情報連携の場がない。

    ●4つ目の壁 【健康課題の分析ができていない】

    ⇒そもそも健康診断の結果がデータ化されていない。
    ⇒健康関連データを一元管理できていない。
    ⇒自社および各事業所の健康課題が定量的に分析できていない。
    ⇒データ分析を根拠とし、各事業所ごとにどういう施策を打つべきか、個別の企画検討ができていない。
    ⇒分析に基づく適切な目標と評価指標を設定できていない。

    ●5つ目の壁 【人が足りない】

    ⇒各事業所の保健師・看護師、また健康担当者が多忙で、現状からプラスαの業務をこなすのが困難である。
    ⇒本社や各事業所の人事担当者も守備範囲が広く、超ご多忙である。
    ⇒生産優先で衛生や健康といった管理部門に人が増やせない。

    ●6つ目の壁 【管理職を巻き込めていない】

    ⇒管理職もまた超多忙であり、職務に手一杯で、部下の健康を考える余裕がない。
    ⇒残業過多など、職務にまつわる課題が山積みで、健康経営と言っても白けてしまう。
    ⇒そもそも、会社が健康経営を推進しようとしていることを知らない。関心がない。

    ●7つ目の壁 【社員の健康意識が低い】

    ⇒人事や産業保健スタッフが一生懸命に健康施策を展開しても、参加率が低い。
    ⇒健康経営の目的や意義が社員に浸透していない。
    ⇒情報発信をしても、なかなか健康行動に繋がらない。
    ⇒特に禁煙チャレンジは「喫煙は個人の自由。放っておいてくれ!」と反発が強い。

    【関連サービス】

    健康経営推進画像.jpg健康経営推進総合コンサルティング
    経験豊富なコンサルタントが、貴社の健康経営作りに伴走します。健康経営の推進において、自社の状況を知り将来の目標設定をすることはとても重要です。当社のコンサルタントが、現状把握からコンセプト作りをサポートし、目標とそのためのKPI設定までご支援します。

    まとめ

    いかがでしょうか。貴社にも、いくつか当てはまるところがありましたでしょうか。
    この7つの課題について整理いただくと、健康経営推進の糸口が見えてくるかもしれません。

    どこに「壁」があるのかは、企業様によってさまざまです。時には、想定していなかったような「壁」が出現することもあります。
    このような「壁」を打開すべく、私たちは各企業さまの実態に合わせたコンサルティングを提供するように努めています。ご担当者様と一緒に「壁」をノックしたり、叩いたり、様子を伺ったり・・・なんとか「壁」を壊したいと、根気強く頑張ります。

    もちろん、簡単には壊せないことが多いのですが、ご担当者様の諦めない「熱意」が、最終的には事を動かすことが多いように思います。私たちは、次第にそんなご担当者様の「同志」のようになれることを目指しています。

    ------------☆筆者プロフィール☆------------
    桜又 彩子(さくらまた あやこ)

    SOMPOヘルスサポート株式会社
    シニアゼネラルコンサルタント

    システム開発会社の人事部で7年間勤務の後、
    2007年よりSOMPOヘルスサポートにてメンタルヘルスおよび健康経営の
    コンサルティング業務、研修講師などに従事。

    【保有資格】
    特定社会保険労務士 
    キャリアコンサルタント
    シニア産業カウンセラー
    ポジティブ心理学プラクティショナー
    健康管理士一般指導員  など