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【エンゲージメント】気になる帰属意識との違いとは?
近年、健康経営を推進する企業が増加したことにより、従業員エンゲージメントを高めることの重要性がますます求められてきています。同時に、似たような言葉である「帰属意識」との違いや関係性が曖昧になり、施策を進めるうえで混乱してしまう人事ご担当者も目にするようになりました。今回は、帰属意識についてまとめていきたいと思います。
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エンゲージメントサーベイを活用し、従業員エンゲージメントを向上させようとする企業が増えています。一方でエンゲージメントという言葉とともに、従業員エンゲージメントやワークエンゲージメントなどの多様な使われ方もされています。
帰属意識とは
帰属意識とは、自身が属している組織や集団、グループに対して、自身がその一員であるという意識や愛着のことです。そして、その意識の強弱を「帰属意識が高い、低い」などと表現します。対してエンゲージメント(engagement)は、従業員が会社や組織、業務に対して抱くポジティブな結びつきや関係性といった意味で用いられますが、「約束」「婚約」などという意味が示す通り「会社と従業員双方の肯定的なつながりの強さ」といった意味でも用いられます。帰属意識は片方向の気持ち、エンゲージメントは双方向の気持ち、と区別すると違いがよく分かると思います。また、エンゲージメントを構成する一要素として帰属意識がある、とご理解いただいてもよいでしょう。
終身雇用が一般的であった頃は、定期昇給制度と相まって、従業員の自社に対する帰属意識は自然と高まることが多かったといわれます。現在では転職活動が一般的となり、勤続年数と給与も連動しないことが多くなりましたので、従業員の帰属意識が自然と高まることは少なくなりました。こうした状況の中で、離職対策やエンゲージメント向上などを目的として、従業員の帰属意識を高めることへの企業の関心が集まっています。
帰属意識を高めるために意識してほしい心理的安全性
帰属意識は、まずはグループや課などの小集団に対して芽生え、そこから会社といった大きな集団に対して芽生えるといわれています。ですので、従業員にとって身近な周囲との関係がうまくいかない限りは、自社に対しての帰属意識を高めることは難しいでしょう。グループや課での関係性を考えるうえで重要な要素はいくつもありますが、その一つが「心理的安全性」です。
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心理的安全性とは
心理的安全性とは、メンバー間のコミュニケーションにおいて、自分がどのような発言をしたとしても、攻撃されたり、嫌われたり、関係性が壊れたりする恐れを抱くことがない安心した状態をいいます。心理的安全性の低い職場は、ミーティングなどで発言をするときに「馬鹿にされる」「否定される」「ダメ出しされる」といったネガティブな気持ちを抱えるメンバーが多くなります。結果として、よいアイデアが浮かんでも黙っている、反対意見を言わない、ミスを隠す、困っている人に関わらない、などの行動を選択する可能性が高まります。こうした職場になってしまうと、メンバーの帰属意識は育ちません。
心理的安全性を生み出すのは管理職
管理職は職場での心理的安全性を左右する存在と言っても過言ではありません。ここでは、管理職の方に特に意識してほしい2点について記載をします。皆さんの会社の管理職は意識できているか確認してみましょう。
1 メンバーに公平な発言の機会を与えているか
特定のメンバーに偏った意見集約をしていると、意見を聞かれにくいメンバーは不安や不公平感を感じるようになります。こうした状況を防ぐために、管理職はメンバーひとりひとりに発言する機会を与えましょう。初めは発言を躊躇するメンバーもいるかもしれませんが、粘り強く関わることで、発言することへの抵抗感も薄れ、心理的安全性を高めることにつながります。
2 メンバーの成果だけでなく行動や存在に目を向けているか
管理職が成果にこだわることは当然ですが、メンバーとの関わりを成果のよしあしのみで構築してしまうと、関係性は不安定なものとなり、心理的安全性も高まりません。管理職は成果以外にも、メンバーの行動(プロセス)を日々観察しておき、折に触れてコミュニケーションをとるようにしましょう。また、行動以外にも存在に着目する方法があります。これは存在承認といわれます。一言で言うと「相手を尊重する」気持ちを伝えることです。挨拶を欠かさない、笑顔で接する、趣味や誕生日を覚えている、などといった態度を指します。
皆さまの会社における職場の心理的安全性はいかがでしょうか。今回は、帰属意識とエンゲージメントの違いや、帰属意識を高めるために必要な心理的安全性について説明をしました。帰属意識を育みやすい組織づくりのために、まずは各職場の心理的安全性がどの程度なのか可視化してみることをお勧めします。
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