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運動習慣について
運動習慣とメンタルヘルスの関係
調査によると、運動習慣のある人はない人に比べ、抑うつ度が低く、社会適応度が高く、1年後に抑うつになるリスクが半分であるとされています。また、適度な運動にはうつ病の改善効果があり、時に薬物療法と同程度の症状改善・再発予防効果があるという報告もあります。適度な運動習慣を持つことは、メンタルヘルスにも良い影響を及ぼすようです。
どうして運動が心の健康に良いの?
では、なぜ運動習慣がメンタルヘルスに良い影響があるのでしょうか。まだはっきりと解明されていませんが、運動によってβエンドルフィン幸福感を生む脳内伝達物質やセロトニン・ノルアドレナリン(うつ病に関係している脳内伝達物質)の分泌が促進されるからといった説があります。また適度な疲労感により緊張が解け、快適な睡眠がもたらされることも関係しているといわれています。
効果的な運動とは?
運動には、無酸素運動と有酸素運動があります。
- 無酸素運動:重いウエイト・トレーニング、腕立て伏せなど→小さい筋肉に作用する
- 有酸素運動:歩行、軽いジョギング、水中歩行など→持久的に大きな筋肉に作用する
無酸素運動は筋肉が増え、エネルギー代謝はアップしますが、脂肪は燃焼しにくく、心臓にも大きな負担がかかります。一方有酸素運動は脂肪を燃焼し、心臓への負担が低い上に、生活習慣病の予防にも有効です。特にうつ病の予防・改善には、リズミカルに一定のリズムで身体を動かすような有酸素運動が効果的です。
リズミカルな運動の例としては、
- ウォーキングやジョギング、ランニング
- サイクリング
- 水泳
- エアロビクス
- 足踏みや腹式呼吸など
などがあります。
このうち、習慣化しやすく、達成感が大きい「ランニング」は、うつ病予防に適しているといわれています。
他の人はどのぐらい運動している?
では他の人はどのくらい定期的な運動を行っているのでしょうか。
「運動習慣」とは、国民栄養調査では「週2回以上、1回30分以上、1年以上、運動をしている 」と定義されています。このいわゆる「運動習慣」を持っている人は、平成25年の調査によると、男性33.8%、女性27.2%となっており、少しずつ増加しています。近年、家事や仕事の自動化や交通手段の発達により、日本人の身体活動量は低下しているといわれていますが、運動に対する意識は高まっているのです。
文部科学省の調査によると、運動しない理由として40~50代では「時間がないから」を挙げた方がおよそ7割。60代以降では「身体が弱いから」を挙げた方がおよそ3割とのことです。このことからも、気軽にできて負担の少ない運動からはじめ、慣れてきたら段階的に増やしていくと良いでしょう。1回の運動の効果は48時間以上継続しないといわれていますので、月・火・水と続けて運動するよりも、月・金に運動するほうが医学的メリットは高いといえます。
日常生活で活動量を増やす一番簡単な手段は、歩行を中心とした身体活動を増加させるように心がけることでしょう。目安としては「一日一万歩」歩くことが理想です。平成26年の調査では、日本人の歩数の現状は、1日の歩数の平均は男性で7043歩、女性で6015歩であり、この10年ほど減少傾向にあります。まずは階段を使ったり、帰りに一駅歩くなど、「一日一万歩」に向けた最初の一歩を踏み出してはいかがでしょうか。
習慣的に運動をすることは、生活の中で受けるストレスをリセットし、すっきりするという効果も期待できます。学生の頃に行っていたなじみのあるスポーツや、誰かと一緒に始められるもの、あるいは一人で楽しむもの等、ご自身にあった身体活動を選び、無理のないペースで始めてみてはいかがでしょうか。
ただし、目標タイムや勝敗を気にしすぎると、新たなストレスにつながってしまいます。心の健康のための運動習慣であることを意識し、楽しみながら行えるとよいでしょう。
参考資料:平成25 年厚労省 国民健康・栄養調査結果の概要
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